大好きな飲食店の料理人が代変わりするとガッカリさせられることが多いな、と悲しくなったこと

今日は本当にガッカリな一日だったんだ。

昼食も夕食も外食したのだけれど、両方とも酷いものだった。

ハンバーグ屋さん

昼食はハンバーグ専門の洋食屋さんに行った。

今から30年ぐらい前に良く行っていたお店なんだけれども、数年前にたまたま事務所をこの近辺に移転したのをきっかけに、最近また頻繁に食べに行くようになった。

ここのハンバーグ、外側はしっかり焦げ目がついて香ばしくカリッとした食感なのに、中は焼き締まっていない程よい感じで、口の中でホロホロとひき肉がほどけ肉汁が口の中に広がる感じがかなり官能的だ。

付け合せも豪華で、サヤインゲンに半切りのポテト、特に大ぶりに斜め切りした人参のソテーが絶品だ。

千円以下でこれだけのハンバーグを食べさせてもらえることにいつも感動してしまう。

お店は普段、年配の店主とおぼしき方が調理している。オーダーがはいるとタネを手にとって、トントンと叩いて空気を抜きながら優しい手付きで形を整え、さっとフライパンで焦げ目をつけ、最後にオーブンで仕上げるといった流れだ。

そして、盛り付けられた皿を若手の男性が配膳するのがいつもの流れなのだけれども、ときたまこの若手が調理している日があるんだ。

今日がたまたまその日だった。

この若手が調理している日に当たると、店主のハンバーグとは雲泥の差で不味いんだ。

特に今日は酷かった。

過去最高に酷かった。

ハンバーグは焼き締まって固くなって(といっても普通のハンバーグと同じぐらいだけど)ホロホロしないし、表面を焼きすぎて焦げ臭くなってしまっている。

デミソースも若干シャバシャバで量も少なめだったので、今日の硬めのハンバーグをごまかしきれず酷さに追い打ちをかける。

とても甘くて美味しいはずの人参も、今日のはエグみが残ってて、いつものとてもキレイな赤みの強い色とは裏腹に今日の人参は発色がわるくて黄色っぽい。おそらく下茹のエグミ抜きが十分じゃなかったんだろうな。

なんだか美味しいハンバーグを作ってやるという気概というか、愛情というか、プライドが感じられないんだ。

通り一遍の作業をレシピ通りにこなしてるだけで、雇われ感満載な仕事っぷりなんだ。

だめだ。

もうこの若手が厨房にいるのを見たら、その日は諦めて踵を返そう。

たかだか千円未満の料理に素人がうるさいことを言うのも失礼だし、自分の舌も自慢できるほど肥えているわけではないけれども、でも、自分なりに美味しくないと思うものは食べたくないから、何も言わずにそうしようと決意したんだ。

ラーメン半チャーハン

夜は、ちょっと遅くなってしまったので家の近くの行きつけのラーメン屋さんに行くことにした。さすがに家族の夕飯が終わったあとに、自分だけのために夕食を用意してもらうのも気がひけるので、遅い時間に帰るときはなるべく外食をするようにしているんだ。

このラーメン屋さん、25年ぐらい前に僕がちょうど会社を辞めようかどうか悩んでた頃にできたお店で、オーナーさんと年の頃も同じだったので、勝手に自分の境遇に重ね合わせて応援することにしている。

住宅街の駅から歩いて6分ぐらいの立地的にはあまり良くない場所であるにもかかわらず、何回もテレビで紹介されたり繁華街に支店やフランチャイズ店を数店舗出店するなど、それなりに人気のラーメン店だ。

時間帯にもよるんだけれど、客が列を作って道に並んでいるのを見つけたりすると、「長い間、人気が衰えず頑張ってるなぁー」と自分の事のように嬉しいのだ。

お店は定休日なしの長時間営業なので、店長さんの他にも厨房を仕切れる社員さんやアルバイトさんが2~3人いるんだけど、やっぱり人によって味が変わるんだよね。

日によってスープの仕上がりとか煮詰まり具合が違ったりとかするのは、どっかの工場の製品を仕入れて作ってるわけではなく、すべてを自分たちで仕込んでいるからこそのブレなので許容できるんだ。仮に悪い方にブレているときでさえも、僕にとっては、かなり美味しいと思える範囲にとどまっているんだ。

でも、麺の茹で具合だとか扱いだとか、ネギの味だとか、その日の厨房を任された料理人に依る部分が大きいところについてはかなりの差がでている。

やっぱり店長さんの作る一杯が一番美味しい。

店長さん以外の人が作ると、たぶん茹で汁の管理が悪かったり麺の湯切りが不十分なせいで、スープに小麦粉の香りが混ざり込んで味が変わってしまったりすることがある。また、おそらくはネギの刻み方が下手だったり水切りが不十分なせいだと思うんだけど、ネギからでた水分でスープが青臭く土臭くなったり薄まってしまうような感じになってしまうことがある。

今晩の厨房は、残念ながら店長さんじゃなかった。

案の定、まずいネギの日だった。

しかも、ちょっとお腹がへっていたので半チャーハンを頼んだのだけれども、これが酷かった。

タイミングが悪かったらしく、炊きあがったばかりの蒸らしが足りない白米で作ったチャーハンだった。

いつもならいい感じにパラパラした醤油味のチャーハンが出てくるのに、今日のはベチョベチョだった。

最悪だ。いつもの味を期待して食べに行ったせいで、余計にがっかりするんだ。

ついてない日は、こんなものなんだろうな。

カレー屋さん

そんなこんなで最悪な気分のまま家に帰って、こうやって文章を書いてストレスを発散しようとしているのだけれども、余計なことを思い出してまたまたガッカリ度が上昇してしまった。

事務所の近くのカレー屋さんのことだ。

そのカレー屋さんもかなりの老舗で、カレー激戦地域の中で長い年月に渡り生き延びていて、なかなか評判の良いカレー屋さんだ。席数が少ないこともあるけれど、お昼時にちょっと出足が遅れると満席で入れないほどの人気のあるお店だ。

今では年配になられたご夫婦が経営されていて、寡黙なご主人がカレーを仕込み、優しい感じの奥様が配膳とかレジ打ちをしているこじんまりとしたお店だ。ここも若い頃に何回か食べに行っていたんだけれども、事務所移転でこの辺に戻って来たのをきっかけに、最近は月に一回以上は食べに行っている。

メニューには3種類のカレーがあるんだけれども、僕はいつもシャバシャバのスープ系カレーを頼む。

シャバシャバだと言っておきながらなんだか変な表現なんだけれど、コクがあって滑らかなのにさわやかな辛さがとても美味しいカレーなんだ。食べてるうちにスープが白米に染み込んでいくのだろうか、まるでリゾットのように姿が変わってゆき、辛さの中に白米の甘さが浮き出てくるような感じがして、他では絶対に味わえない絶品カレーだ。

ところが最近になって、たぶん二代目のご夫婦だとおもうんだけれど、30そこそこの若いお二人が加わって4人でお店に立つようになったんだ。

ちょうどその頃から、今までとは少し味が違うなと思う時が何回かあって、もしかして二代目のご夫婦がいろいろと試行錯誤しているのかなと自分なりに勝手に想像している。

端的にいうと、辛さが強調され、同時に油分が少し強くなった感じだ。

以前の爽やかさが若干犠牲になって、ちょっと攻撃的でヌルっと感が増して、こなれていた筈の味のバランスが若返ってしまったような気がしてならないんだ。

僕が年をとったせいで味覚がかわったのか、本当に味が変わってしまったのかは何とも判断しようがないし、お店のご夫婦に聞いてみるほどの厚かましさも持っていないので事実はわからない。

もし変わったのだとしても、新しいものへの挑戦だとしたらそれは非難されるべきものではないし、僕は文句を言える立場にいるわけでもない。

そんなことは重々承知の上で言うんだけれど、今のあの味は僕にはバランスが悪くてツライ。

舌が覚えているあの味を求めお店を訪ねる僕にとってみれば、この変化は裏切りに感じるんだ。

もしかしたらお店の方は味は一切変えていなくて、僕の味覚が年令とともに変わったのかもしれない。そうだとしたら、僕個人に限って言うならば、これから年を重ねるごとにあのカレーが僕にとっての絶品カレーではなくなっていってしまうのかもしれない。

ちょっと自嘲気味に言うけれど、年をとるにつれ変化に対応することが段々できなくなり頑固になるって言うけれど、たぶんそういうことが起こっているのだろう。

とても悲しいことだ。

うん。

悲しい。

大好きな飲食店の料理人が代変わりするとガッカリさせられる?

ところで「大好きな飲食店の料理人が代変わりするとガッカリさせられる」という命題だけれども、これはロジックとして当たり前の話だと思うんだ。

「大好きな飲食店」と言っている時点で今の味にかなり満足しているわけで、ちょっとでも違う方向に変化したら(たとえそれが一般的には良い方向に変化していたとしても)、マイナスの評価をつけたくなるものなんだ。

これから代を重ねて、永々とお店を続けていこうと思うのなら、今の味を進化させて時代に合わせていかなければならないのは正しい判断だと僕も理屈ではわかっている。

でも、心情的には変わって欲しくないという自分がいるのも事実で、そういう事も含めて「悲しい」という感情が湧き上がってくると思うのだ。

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