ふるさと納税ってなんだかおかしいと思っているので利用したことがない

ふるさと納税という制度については、導入された当初から何か変な感じがしていて、利用したことがないんだ。

支払わなければいけない税金の一部が返礼品になって戻ってくるわけだから、個人の家計を考えれば利用しない手はないんだけれども、なぜかとても嫌なんだ。

僕らは生活するにあたって、住んでいる地域の公共サービスを利用している。つまり、税金を納めなければならない相手は、まず第一に地元の自治体だ。

例えばゴミの収集だったり、毎日歩いている道の整備だったり、公園とか保育園とか学校のサービスも地方自治体が一部または全部の費用を負担している。

地方税とはインフラ使用料で、そういった料金を支払うからこそ、ちゃんとしたサービスが受けられるのだ。

自分の出身地だとか毎年訪れている避暑地だとか、通勤で通り過ぎる地域や勤め先の会社がある自治体など、自分が公共サービスを利用している地方自治体にふるさと納税するのは大賛成だ。

けれども、まったく縁もゆかりも無い自治体にふるさと納税をすることについては、さっぱり同意できない。

あんまりキレイ事ばかり言っていると損をするのはわかってはいるんだけど、かなりウェットな部分で割り切ることができないでいる。筋が通らないんだもの。

だから、どこぞの地方自治体がiPad配ったり、Amazon券を配ってまで集金しようとする浅ましさには、嫌悪感さえ抱いている。悪いけど、そんな心構えで自治を行う公務員がいる地域なんかにはお世話になりたくない。

きつい言い方をすれば、制度の隙間を悪用する潜脱行為でしかないし、そういうマインドのヤカラはそこに住んでいる住人に対しても潜脱行為をするかもしれない。善行の為にしたからといって、悪行が許されるわけではない。

自分が利用するサービスに対して費用を支払うのは当然のことだ。その地域に住みたいんだけれど地方税率が高すぎて割が合わないと思えば、引っ越しをする人が増えるだろうし、税率が低くてかつ住みやすい環境であれば人が多く集まってくる。

ある意味、地方税とは家賃みたいなものだ。つまりサービスと負担金額とのバランスが取れているかがとても重要なのだ。

もっとも、サービスを提供するには一定の固定費が発生してしまうため、所得の低い地域や人口の少ない地域では、サービスの提供が困難な状態になってしまうことがあるのも良くわかる。

日本という国に住んでいて、他の地域と比べ遜色のないサービスの水準を手に入れることが、結果的に地方自治体の赤字の原因になってしまうのであれば、国税から補てんするしかないんじゃないだろうか。つまり、もともとある地方交付税制度をもう少し拡大運用すればよいのではないだろうか。

この分野は専門家ではないから、あまり立派なことは言えないのだけれど、シンプルに物を考えれば、住みたいところがイコール税金を納めたいところなんだというのは真理なのではないかと思う。

そうやって考えていくと、ふるさと納税で縁もゆかりも無い地域に納税した人には、自分の住まう地域の公共サービスを使うに当たっては、かなり申し訳なさそうに遠慮しがちに利用しほうが良いと言ってやりたい。

国税についても、世界の中における日本国民という立場を与えられていることと、国民として享受できる国内外のサービスに対する対価を支払っているとするならば、僕はかなり喜んで支払いたいと感じている。

今の日本国内の状態が良いか悪いかといった単眼的な満足度については、意見が分かれるところだろう。しかし、税金と反対給付のバランスを考えた上で移住したい日本以外の国や場所があるか?と相対的な判断を求められたらどうだろう。今の僕の心中は、かなりの割合で日本推しだ。

納税は義務とされてはいるが、一方で納税を義務ではなく「インフラやサービス利用料の支払い」とドライに考えてみるとかなり受け止め方が変わってくる。

最近は、外国人労働者の積極的な受け入れや、インターネットだったり仮想通貨などの国家が管理しにくい技術の発達により、国の在り方や境目があやふやになり始めている。

そんなタイミングで感じたふるさと納税への疑問は、レイヤーがまったく違うのだけれど、自分が利用したいインフラやサービスや環境がどの国にあって、どうすればそれを利用できるのかと考えるきっかけにはなった。

だからたぶん僕は今の日本に居続けるんだと思うし、10年後も同じように思える日本であってほしいと願うのだ。

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