長期予報の「平年並み」ってなんだ?

4月ももうじき終わると言うのに寒い。

気になってtenki.jpの長期予報を見てみた。

予想される向こう1か月の天候(2019年04月27日~)
気温 | 平均気温は、北日本で平年並または低い確率ともに40%、東日本で低い確率50%です。

なんとなく涼しいのが続くことはわかったけれども、確率で見せられても困ってしまう。

3~4週目のグラフに至っては、どう判断していいのかわからない。

平年並みが40%。

「平年並みか平年より低い」という言い方をすれば70%になるので、涼しげな感じもする。

ところが、「平年並みか平年より高い」という言い方でも70%だから、ぽかぽかした陽気になるのだろうなという感じもする。

これで予報が当たったといわれても、なんだか騙されているようだ。

定義

気になったので、気象庁のホームページで予報で使われる言葉の定義を調べてみた。

平年並み

気象庁の「平年並」の範囲一覧表によれば、1981年からの30年間における出現率がそれぞれ33%になるように、低い・平年並・高いを設定しているとのことだ。

1ヶ月予報ならある月の、3ヶ月予報なら3ヶ月分の平均気温を30年分低い順に並べ、下から順に10個ずつのかたまりを作って階級を決めている。

つまり、11番目から20番目までのかたまりの「最小値≦平均気温≦最大値」の範囲が平年並みということらしい。

東日本の3~5月の3ヶ月の平年並みの範囲は、-0.1≦平均気温≦+0.3 という具合に前後合わせて0.4℃の範囲で、これを外れれば、低いまたは高いとなる。

今回のように平年より低いという確率が70%と出ていたとしても、むちゃくちゃ涼しいというわけではなく、平年並みの範囲からちょっと涼しいだけなのかもしれない。

確率

確率については、直感的にわかる通りのままで、気象庁の確率表現の見方によれば、70%の予報なら、10回予報して7回は当たるということらしい。

7回当たれば良いほうだけれど、3~4週目のグラフのように30%・40%・30%のような書きっぷりだと、予報ではない感じもする。

もともとが、30年分の統計から階級を出しているのだから、毎回30%・40%・30%で予報していれば、長い期間でみれば大数の法則がはたらいて似たような的中率に収斂していくはずだ。

地球規模の温暖化傾向を踏まえれば、僕なら30%・30%・40%という予報を毎回出すかもしれない。毎年の的中率でみたらバラツキがでるだろうけど、10年も予報を継続させてもらえば、かなり精度の高い予報をしていると胸を張れそうだ。

30%・40%・30%の予報を出すのであれば、「まだわかりません。ごめんなさい。」と書いてくれたほうが、潔いしわかり易い気もする。

ちなみに、季節予報の精度というページに、2013年から5年間の予報精度をまとめたグラフが出ている。

分かりづらいグラフなんだけれども、例えば「70%の確率で平年より低い」と10回予報すると、確率通りなら7回は低くなって3回は別の結果になるはずなのだけれど、実際には9回低くなってしまったということのようだ。

平均気温については、10%とか20%で予報した場合は予想よりも低い出現率となり、逆に50%以上はかなり高い出現率になっている。

このグラフを見ていると、どうやらそれぞれの階級の最低の予報確率は10%で、0%とか100%という予報はしないようなのだ。たしかに自然現象を相手にした確率なので0%や100%は有り得ないのだが、10%刻みの指標をつかうのならば四捨五入で丸めた結果としての0%や100%があっても良いように思う。

最低が10%になっていて3階級あるため、一つの階級の最大値は80%になってしまう。たぶんそのせいで、予報確率と出現率の乖離が大きくなってしまうのだろう。

このグラフで見る限り、予報確率は、以下の通りに読み替えて理解したほうが良さそうだ。

  • 10% => 5%
  • 20% => 10%
  • 30% => 25%
  • 40% => 40%
  • 50% => 60%
  • 60% => 80%
  • 70% => 90%
  • 80% => 85%

結局5月は寒いのかどうか?

では、関東甲信越の5月は寒いのかどうかと言うと、今週と来週は平年よりも80%以上の確率で平年以下の気温になるようだ。

5/11からの2週間については、「どうなるかまったくわからない」といったところのようだ。

まだしばらくは、長袖をしまえないですね。

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