Movable Typeは、もうちょっと評価されてもいい

Movable Typeが全盛だったのは、もう思い出すのも難しいくらい昔の話だ。

かれこれ10年以上 Movable Type を利用している立場からすると色々思うことがある。

WordPress で構築されたサイトでこんな記事を書くのも変なのだけれども、Movable Type は今だからこそもう少し評価されても良いと思う。

Movable Type と WordPress

Movable Type と WordPress を比較した記事は、数年前はそれなりに多く見かけたが、最近ではほとんど見ない。ブログプラットフォームとしてのシェアが雲泥の差で開いてしまった現状では、そもそも比較の対象にならないからであろう。

シェアが逆転した理由をさがせば枚挙にいとまがないであろうが、僕の見解としては以下の2つが大きい。

ストレージやメモリが安くなった

もっとも大きな外的要因は、ストレージやメモリが安くなったことにあると僕は思っている。

安くて高スペックなレンタルサーバーのプランが出回ったことで、動的生成のデメリットが解消した。

Perlの開発が相対的に減った

以前はWeb系で何かやろうと思えばPerlが第一番目の選択肢だったのだが、今ではPHPの後塵を拝している。RubyやPython、JavaScriptなどの他の選択肢も増えた結果、相対的にPerlの使用頻度が下がった。

Perlを書けるプログラマーはたいした学習コストを掛けずに他の言語を使えるようになるので、メインの言語をPerl以外に乗り換えてしまった人も多いだろう。

オープンソースは草の根ユーザー数が多ければ投入リソースも多くなる仕掛けだから、開発スピードがPHPベースのものに比べて遅くなっていくのも致し方ない。

本当の事情は不明だけれども、発祥のアメリカでMTの開発が停滞したのも、一度はオープンソース版をリリースしたにもかかわらず廃止してしまったのも、Perlの流行り廃りに引きずられたのだと思っている。

Movable Typeのメリット

Movable Type のメリットは、静的HTMLの生成に尽きる。あたりまえのことだけれど、動的生成とは雲泥の差でページの表示速度が速い。

低い学習コスト

他の静的HTMLを生成するフレームワークなどと比べても、最初から管理画面がありGUI環境で触ることができる点において、MTは初級者にとってかなりとっつきやすいはずだ。

PHPなどのプログラム言語知らなくても、大抵のことはできてしまうのも便利だ。

mtタグを使えるようにならなければならないが、公式のリファレンスを見ながらいじればわざわざ覚えるほどのこともない。

WordPress のテンプレートをいじるために、PHPやら配列やらを覚えなければならないことを考えれば、学習コストはかなり低い。

セキュリティリスクが低い

静的HTMLで出力した場合、セキュリティリスクは確かに低い。

ただ巷間言われているように、ユーザー数が少ないのでターゲットにされにくいとか、静的HTML生成だからとかいう消極的な理由は、誤解を招くので好きではない。

CMS本体を外部に晒すことなく、HTMLのみをデプロイできるからセキュリティリスクが低いのだと理解するべきだ。

mt.cgiやmt-search.cgiへの直接アクセスを許しているのであれば、アタックを掛けられるリスクが存在することには変わりない。

しかも、ユーザー数が少ないことで逆にセキュリティーホールが見つかりにくいことを考えると、ゼロデイ攻撃のリスクは、WordPressよりも大きいかもしれないことを肝に銘じておくべきだ。

かなり柔軟性の高いCMS

MTはインデックステンプレートにパスやファイル名を自由に指定することができる。

もちろん、PHPファイルやJavaScriptをインデックステンプレートに登録することができる。.htaccessファイルなんかも登録できる。

FTPソフトを利用せずブラウザ画面から操作することができるので、ちょっとしたコードの管理にはちょうどよい。

ヘッダーやフッターなどテンプレートモジュールに登録したパーツを、それらのコードに組み込んで使う事もできる。やりようによっては、フレームワークっぽい使い方ができるのだ。

複数のウェブサイトやブログを簡単にまとめられる

1インストールのMTで、マルチドメインでウェブサイトやブログを何個でも作ることができる。

もちろん、これら複数のウェブサイトやブログコンテンツをまとめて、ポータルサイトを作るのも簡単だ。

また、システムテンプレートを使えば全てのウェブサイトでパーツを共有することもできるし、ウェブサイトIDを指定して別のウェブサイトのパーツを流用してくることもできる。

一つのシステムが複数のウェブサイトを同時に管理しているので、バージョンアップも一回だけ行えば全てのサイトに適用できるというメリットも有る。

個人無償ライセンスがある

個人無償ライセンスがあり、個人で行う場合ならアフィリエイトにも利用することが可能だ。

個人無償版ダウンロードページでメールアドレスを登録すると最新版を入手できる。

Movable Type のデメリット

かなり使い勝手が良い Movable Type なのだが、気になるところもそれなりにある。

ライセンス体系がころころ変わる

一度はオープンソース版もリリースしたのに廃止され、今では商用版(個人は無料)のみとなっている。

以前の商用版はライセンス買い切り制で、メジャーバージョンアップ毎に割引価格でバージョンアップできていたのだが MT7 からはサブスクリプション形式(毎年支払い)に変更となった。

運営母体が変わるなどの苦難の時期があったのもわかるし、個人無償ライセンスを提供して踏みとどまっている点については評価もするけれども、過去の経緯を見ていると今ひとつ信頼を置けない。

バージョンアップに一手間必要

MT本体はもとよりプラグインについても、バージョンアップはFTPなどを使って手作業で行う必要がある。

WordPress がボタン一つでバージョンアップできるのに比べれば面倒だ。

テーマやプラグインが少ない

はてなブログなどのブログサービスや WordPress と比べると、無料で利用できるテーマが圧倒的に少ない。

プラグインについても同様だ。

もっとも、プラグインに頼らずとも、必要なことはデフォルトでほとんどできてしまうので、この部分については余り困らないかもしれない。

ただ、新しいコンセプトやサービスとの連携については、プラグイン開発者が少なかったり、本体の開発リソース不足が原因となって、WordPress に見劣りしてしまう部分が増えてくるのではないだろうかと心配している。

ブログのみに利用するには勿体無い

デメリットというには少々ずれているのだが、ブログ単体で使うのであれば WordPress のが良いだろう。

おそらく Movable Type は、この先、コンテンツマネジメントシステムとしての性格をより強く打ち出していくはずなので、WordPress よりも Drupal や最近流行りの静的サイトジェネレーターが競合になってくるのだろう。

Movable Typeは、今だからこそもうちょっと評価されてもいい

ソーシャルメディアでのコミュニケーションが主流になったことで、ブログの「日記を介したコミュニケーションツール」としての魅力はかなり薄れた。

記事が時系列で並んでいる重要性は日を追うごとに下がっていき、記事とウェブページ(固定ページ)の境目がどんどん曖昧になっていく。

インフラ面でも、表示速度や転送データの軽量化が重要視される流れがある。

動的CMSよりも静的CMSのほうが良いかなと思う機会が増えている。

しかし、静的サイトを生成するフレームワークなどを利用してスクラッチで作るのは敷居が高いと思うのであれば、Movable Type という選択肢もかなり有りなのではないかと思うのだ。

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